和菓子が繋ぐラグジュアリー。

「そういえば着物にしてもそうだが
マナーもきちんとしているが、それも祖母の影響か?」

すると華京院様は、私のことに対して質問をしてきた。
 華京院様の方から話しかけてくれるとは……。

「あ、はい。そうです!
 祖母は、優しいのですがそういうマナーなどは、
きちんとした方だったので一通りのことは……」

「……そうか」

華京院様は、そう呟いたが一瞬表情が和らいだ。えっ?
 しかしすぐに元に戻ってしまった。
あれは、気のせいだったのだろうか?
 不思議に思ったが、その間にも時間はただ過ぎていく。

 ディナーは、知らない間にもデザートまでたどり着いてしまった。
緊張で味すら覚えない。もう……これを食べたら帰りたい。
 そう思いパクパクとケーキを食べていると
コーヒーを飲んでいた華京院様は、静かにカップを置いた。
 そして背広のポケットから何かを取り出していた。

えっ……?
 社長は、ポケットから取り出すと私の前に置いた。
それに私は、驚いてしまった。
 ホテルのカードキーだったからだ。これってまさか?

「昨日と同じ部屋を取っておいた。今日もここで泊まるぞ」

えっ……えぇっ!?
 それってつまりまた、私を抱くってこと?
な、何で……婚約者のふりなのに。
 リベンジってそこまでやる気!?

「あの……そこまでやらなくても」

「何を言っている。昨日のリベンジだと言っただろ?
 昨日が良くて今日は、ダメなんて昨日の俺に負けたみたいではないか。
仕切り直すなら最後までだ」

いや、何と張り合っているんですか?
 いくらリベンジだとしても……そんな。
思い出しただけでも恥ずかしくなってしまう。

 しかし華京院様は、そんな私を気にすることなく
立ち上がった。えっ……?

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