和菓子が繋ぐラグジュアリー。
「君がやよいちゃんが期待している新人だね?
なるほど……確かに。容姿は、違うが
立ち振舞いの雰囲気が、やよいちゃんに似ているな」
「えっ……私がですか!?」
それを言ってきたのは、名誉院長先生だった。
やよいって女将さんの名前だったはず……。
背が高い白髪の高齢男性なのだが、ダンディな雰囲気で
物腰の柔らかい感じの人だった。
今もモテそうだが、きっと若い頃は、相当モテだだろう。
「あぁ、昔のやよい……女将に似ているよ」
ニコッと微笑む名誉院長先生に私は、戸惑いながらも
ちょっと嬉しかった。お世辞かもしれないけど……。
しかし名前を呼ぶぐらいだから親しいのかしら?
年も同い年かちょっと上ぐらいだろうか。
「あ、ありがとうございます。
あの……女将さんと古くからの付き合いなんですか?」
失礼かと思ったが、気になり尋ねてみた。
「あぁ学生の頃に。幼馴染みなんだ。
あの頃のやよいちゃんは、お店の看板娘だけではなく
学校のマドンナだったんだよ」
そう話す名誉院長先生は、何処か誇らしげだった。
学校のマドンナ……女将さんが?
しかし、あれだけ品があり美人の女将さんだ。
マドンナと言われても確かにと思うほどだった。
あ、だったらなおさら私が来て良かったのだろうか?
それなら女将さんが来た方が……?
幼馴染みだし、昔を知っている人だし……。
私は、戸惑っていると名誉院長先生は、クスッと笑った。
「やはり似ている……優しくて気遣い屋なところが。
まぁ、やよいちゃんの方がある意味ハキハキしているけど
それよりも今、修行中なんだって?
どうだい。上手くやれているかい?」
「ま、まだ全然です。どちらかというとご迷惑ばかりで
もっと……頑張りたいです」