和菓子が繋ぐラグジュアリー。

「フフッ……あらあらいいじゃない。
 それもまた青春みたいで。デートしてきたら?」

「デートって……恵斗さんですよ!?
 名誉院長先生のお孫さんだし、それにそれに。
私には、ふりですが華京院様との婚約がありますし」

 もし他の方が噂でもして広がったら会長夫人の
耳にも入るかもしれない。
 そうなったら大変なことになるだろう。

何より華京院様に知られるのが嫌だと思った。
 嫉妬とかしないだろうけど、怒らしかねないし
下手したら婚約のふりすら無くなってしまう。

 強引にされた婚約者のふりだったが、いつの間にか
無くなったら嫌だと思うようになっていた。
 やはり私は、華京院様のことが好きなのだろう。

「それならなおさらよ。お互いの気持ちをハッキリさせるためにも
違う方とお食事に行ってみたらどうかしら?
 気持ちが変わらなかったら、なびかないはずよ」

「なびかない……」

 そういうものかしら?
女将さんの真意は、よく分からなかったが
説得されて行くことになってしまった。
 本当に大丈夫なのだろうか?

 そして仕事が終わる頃に恵斗さんが迎えに来てくれた。
 服装は、どうしようかなと思ったがやっぱり
無難な着物にした。お寿司だし……。

「お待たせしました。では行きましょうか?」

「は、はい」

 私は、恥ずかしくなりながらも返事をすると
恵斗さんは、ニコッと微笑むと肩に手を回してきた。
 エスコートの仕方は、華京院様と同じだ。
同じテナント内にある高級お寿司屋さんに向かった。

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