和菓子が繋ぐラグジュアリー。

「司。出前するにも遅いぞ。もっと早く帰ってこい」

「へーい。すみません……あれ?恵斗じゃん」

 大将に叱られても平気そうな男性。
しかし恵斗さんに気づくと声をかけてきた。
 もしかして知り合いだろうか?

「久しぶり司。お邪魔しているよ」

「いらっしゃい。あれ?隣に居る美人の子は誰?
 着物姿だし……もしかして新しい彼女?」

 えっ?私……?
何故か私のことを触れてきたので驚いてしまう。
 随分と言葉使いもチャラそうだが、どうやら
本当に知り合いのようだった。
 驚いていると恵斗さんは、苦笑いする。

「違うよ……確かに食事に誘ったけど
 あ、花恋さん。紹介します!
僕の同級生で幼馴染みの楠木司(くすのきつかさ)です。
大将のお孫さんで、ここの寿司職人で跡継ぎなんですよ」

 大将の……!?
こちらもお孫さんと聞いて驚いてしまった。
 大将は、ダンディで厳格な感じの人だし
ちょっとタイプが違うお孫さんだと思った。

あ、でも……並ぶと似ているかも。
 雰囲気は、違うけど大将も渋い感じのイケメンだし
目の辺が似ているような気がする。

それだと祖父と孫が揃って寿司職人なのね。
 それは、凄いと素直に感心していた。すると
お孫さんが、カウンター越しから乗り出してきた。

「で?食事に誘うってことは、好意があるってことだろ?
付き合うの……お前ら?」

「えっ……?」

 何故……そうなるのかしら?
あまりにも気軽に聞いてくるので私は、困惑する。
 付き合うとか……ただ食事をしただけだし

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