和菓子が繋ぐラグジュアリー。
自分の口から言うのは、やっぱり恥ずかしい。
言いたくなかったのが、反射的に答えてしまった。
すると見る見る内に華京院様の頬が赤くなっていた。
「あ、あれは……その……」
必死に言い訳を考える華京院様の態度に
昨日のことを思い出してしまう。
目線を逸らしているが動揺をしている。可愛い……。
ジッと見惚れていると華京院様は、観念したのか
ため息を吐くとこちらを見てくれた。
「……本気だ。ふりではなく本物の婚約者になれ」
「華京院様……」
その言葉を聞いた時、心の底から嬉しいと思った。
ふりであることに辛くなっていた。
本当の婚約者になれたらと思っていたから……。
私は、涙が溢れてくる。
しかし嫌がっているのかと思い華京院様は、焦りだした。
「泣くな。嫌だったのか……?」
「いえ。嬉しくて……」
初めは、どうしたら分からず嫌々だったけど
今は、それが当たり前になり、いつか解消したら嫌だとも思った。
私は、いつの間にか好きになっていた……。
それを聞いた華京院様は、安心したように
もう一度安堵のため息を吐くと私を抱き締めてくれた。
私もそんな嬉しくなりギュッと抱き締め返した。
晴れて本当の恋人同士で婚約者になれた。
嬉しさが込み上げてくる。しかし
まだ大切なことを忘れてはいけなかった。
来週の日曜に海外のVIPを招いたお茶会があるからだ。
それで恥をかけば私は、婚約者として認めてもらえない。
そうなったら……華京院様とも居られなくなるし
お店にも迷惑をかけてしまう。
どうにかしないと……。