和菓子が繋ぐラグジュアリー。

 そして運命のお茶会の日を迎えた。
海外のVIP達がベリーヒルズビレッジに訪れてきた。
 海外でもかなりの資産家達らしい。

目的は、今やっているプロジェクトの会議と視察。
 そして資産家の中にいくつかこのビレッジに入るかもしれないらしい。
もし決まればさらに大きくなるらしい。

 どうしよう……さらに緊張する。
着物に着替えながら心臓がドキドキしていた。
苦しい……いろんな意味で。

「花恋ちゃんどう?支度が出来た?」

「も、もう少しです……」

 早くしないと。慌てて帯を巻き付ける。
心配した女将さんが休憩室に入ってきた。
うわぁ……さすが女将さん。

 女将さんも同席するのだが、上品な藤色の着物で
帯も上等で綺麗な花の柄だった。
 それに高齢とは思えないほど綺麗だ。
女の私でも見惚れてしまう。

「フフッ……緊張しているのね。大丈夫よ。
いざとなったら私も手を貸すし、あなたらしくやって頂戴」

 女将さんは、クスクス笑いながら近付いて
私の帯を結ぶのを手伝ってくれた。
あなたらしく……か。

確かにやるなら自分らしくやりたい。
 内気でどうしようもない私だけど……華京院様のためにも頑張りたい。

 それが、どう自分の自信に繋がるのか分からないが
とりあえず全力でやろうと思った。
 茶会で使う茶菓子“ねりきり”も昨日完成した。
 盛岡さんに伝授してもらい何とかに1人で作れたし
準備も昨日の内に整えた。
後は、本番で私がお茶を立てるだけだ!

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