和菓子が繋ぐラグジュアリー。
“頑張れ私”と自分で何度も言い聞かしながら
私は、テナントの屋上にある茶室に向かった。
今回は、外でやるらしいのだが見事な日本庭園が眺めることが出来る。
ここの庭園は、腕利きの庭師が作っている。
広々した庭には、鮮やかで綺麗な花と木などが植えていて
そこにセットされた茶室は、見事だ。
すると華京院様達が海外のVIPを連れてきた。
華京院様の会長夫人も一緒だ。
あれ?団体に恵斗さんと名誉院長先生まで居るわ。
あ、お寿司屋の大将と司さんも……。
何故一緒に居るのか分からないが、それほどの
接待だとしたら責任重大だ。
うっ……さらに緊張してきたわ。
内気だけではなくあがり症の私は、失神するほど
不安で押し潰されそうになった。
チラッと華京院様を見るとVIPの方に英語で説明をしていた。
そうしたら英語で私の名前を言ってきた。
あ、自己紹介しているわ。あ、挨拶しないと……。
私は、慌てて頭を下げた。
「では、よろしく頼むぞ。花恋」
華京院様は、私にそう言ってきた。
えっ?と思い頭を上げると華京院様は、ニコッと微笑んでくれた。
華京院様……。
さりげなく私を励ましてくれてる。
その優しさが分かると何だか嬉しくて励みになった。
気持ちがスッと落ち着いてきた。
「はい。ではこちらに……」
私は、姿勢を伸ばすとニコッと微笑み案内した。
茶室には、華京様と会長夫人。そしてVIPの方々が座る。
そして私も座ると右手で茶杓を取り、左手で棗を取った。
薬指と小指で茶杓を握り込み
残りの指で棗の蓋を取り、蓋を右膝前に置く。
茶杓を持ち直して棗の抹茶を向こうから
茶杓で二杓すくい茶碗に入れる。
茶杓を茶碗の縁で軽く打ち、櫂先についた茶を払う。