和菓子が繋ぐラグジュアリー。
すると何を思ったのか、私の腕を引っ張ってきた。
えっ……ちょっと!?
弾みで持っていた茶菓子が包んだ荷物を落としてしまう。
「何だようやく決心がついたのだな。母さん紹介する。
この人は、俺の婚約者だ!」
私を抱き寄せると、とんでもない発言をしてきた。
は、ハァッー!?
私は、何が何だか分からずに唖然とする。
な、何で私が華京院様の婚約者に!?
会長夫人も驚いた表情をしていた。
しかし、ギロッとすぐに睨み付けるように私を見てきた。
「蓮の……婚約者ですって!?そんな話聞いてないわよ?」
「当然だ、隠していたからな。彼女は、謙虚な人で
華京院財閥の俺のところに嫁ぐのに迷っていた。
でもようやく決心がついて来てくれたみたいだ」
な、何を言っているのかしら?
私は、そんな決意も何も初対面なんですけど……。
それに怖い。凄く睨まれているわ。
何だか知らない間に凄い修羅場に巻き込まれていた。
失礼とかそういう問題じゃない。巻き添えよ……これは。
「あなた……名前は?いくつ?
何処の大学出身でお勤めは、何処なのかしら?」
えっ……これって言わないとダメ?
何故か尋問のようになっている。
「えっと……蓮見花恋です。23歳。
和菓子職人なので専門学校を卒業しました。
で……今は、如月で働いています」
恐怖で答えるが自分で言いながら申し訳なくなる。
婚約者を装うにも無理があるからだ。
社長令嬢でもないし……。