和菓子が繋ぐラグジュアリー。

 すると何を思ったのか、私の腕を引っ張ってきた。
えっ……ちょっと!?
 弾みで持っていた茶菓子が包んだ荷物を落としてしまう。

「何だようやく決心がついたのだな。母さん紹介する。
この人は、俺の婚約者だ!」

私を抱き寄せると、とんでもない発言をしてきた。
 は、ハァッー!?
私は、何が何だか分からずに唖然とする。
 な、何で私が華京院様の婚約者に!?

会長夫人も驚いた表情をしていた。
 しかし、ギロッとすぐに睨み付けるように私を見てきた。

「蓮の……婚約者ですって!?そんな話聞いてないわよ?」

「当然だ、隠していたからな。彼女は、謙虚な人で
 華京院財閥の俺のところに嫁ぐのに迷っていた。
でもようやく決心がついて来てくれたみたいだ」

な、何を言っているのかしら?
 私は、そんな決意も何も初対面なんですけど……。
それに怖い。凄く睨まれているわ。

何だか知らない間に凄い修羅場に巻き込まれていた。
 失礼とかそういう問題じゃない。巻き添えよ……これは。

「あなた……名前は?いくつ?
 何処の大学出身でお勤めは、何処なのかしら?」

 えっ……これって言わないとダメ?
何故か尋問のようになっている。

「えっと……蓮見花恋です。23歳。
 和菓子職人なので専門学校を卒業しました。
で……今は、如月で働いています」

恐怖で答えるが自分で言いながら申し訳なくなる。
 婚約者を装うにも無理があるからだ。
社長令嬢でもないし……。

< 5 / 82 >

この作品をシェア

pagetop