和菓子が繋ぐラグジュアリー。
「お前何故それをもっと早くに言わないんだ!?
蓮見流の家元の孫娘なら反対もされなかっただろーが!!
それに道理で着物や茶道が完璧だった訳だ……」
怒っているってより呆れたようにため息を吐いていた。
えっ……でも……。
「えっ……ですが。それは、あくまでも祖母や家の力ですし。
私は、家元を継ぐわけでもありませんし
自分の実力とは、関係ありませんので……」
茶道の跡継ぎは、弟が継ぐことになっている。
私は、和菓子職人の道を選んだ訳だから直接関係ない。
それに実力も自信もないのに、それを口に出すなんて
おこがましいと思った。
それでなくても地味で、これと言って取り柄もないし
すると祖母がクスクスと笑っていた。
「この子は、昔から人見知りが激しい内気な性格で
よく私の後ろに隠れているような子でした。
才能だって師範代の免許まで持っているにも関わらず
今回も久しぶりで自信がないから一から教えてほしいと
私に頼んできたぐらいなんですよ」
「もうお祖母様ったら……それを言わなくても」
……恥ずかしいわ。
師範代の免許だって持っていてもまだまだだ。
人前でお茶を点てることもあがり症の私には、緊張して出来ないし。
「謙虚なのは、結構だがお前の場合は、謙虚過ぎるぞ。
まったく……心配して損した」
華京院様は、さらに呆れたようにため息を吐いてきた。
も、もしかして呆れて引かれちゃった?
どうしよう……自分の自信の無さが裏目に出るなんて
しゅんと落ち込んでいると華京院様があることに気づく。
「そうなると……お祖母様。もしかして
最初から、その事を知っていて俺らを引き合わせたのか!?」
えっ?お祖母様……?
私は、驚いて華京院様を見た後に祖母と女将さんを見た。
すると2人は、顔を見合わせてクスクスと笑い合っていた。