和菓子が繋ぐラグジュアリー。

新たなライバルが出現!?


 それから5月頃になると私達は、お茶会から普通の日常に戻った。
違うのは、本物の婚約者として式の日取りを決めることと華京院様が我が家に挨拶に来ることだ。

「今度の日曜日でもお前の家に挨拶に行こう。
丁度休暇も取れるしな」

「まぁ本当ですか!?華京院様……」

「あぁ、結婚するならきちんと挨拶をするのが礼儀だからな。
それより華京院は、やめろ。そろそろ蓮と呼べ」

「あ、すみません……つい」

 華京院様……じゃなくて蓮様は、如月で
お茶を飲みながらそう言ってきた。
最近華京院様は、名前で呼べと言ってくる。
他人行儀みたいだし、恵斗さん達は、名前呼びだから気に入らないらしい。
正直なかなか慣れない……照れてしまって。

 それに最近になって華京院様は、如月によく来るようになっていた。
 前まで私が届けに行っていたのに。
お店の数少ないテーブル席に座っている。
 すると女将さんが華京院様のところに来た。

「あらあら。今度の日曜に花恋ちゃんの自宅に行くの?
 ならウチの茶菓子をお土産に持って行くといいわ。
千草達は、ここのお菓子が好きだから」

「本当ですか。お祖母様!!」

 女将さんを見ると嬉しそうに表情が明るくなった。
これも最近知ったのだが華京院様は、お祖母ちゃんっ子だった。

 両親が仕事で忙しいためほとんど祖母の女将さんが
世話をしていたらしい。
 そのせいもあり祖母を尊敬してやまないとか。
 確かに女将さんが一緒だと華京院様は、子供のように笑顔が多い。
普段は、ムスッとしていて近寄り難い雰囲気があるのに

好きなタイプも女将さんみたいな人がいいみたいだし。
 確かに女将さんは、上品で優しくて綺麗な人だ。
 そういう私もお祖母ちゃんっ子だったから
華京院様の慕う気持ちは、共感が出来る……。

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