和菓子が繋ぐラグジュアリー。
えっ?それって……私は、お嬢様らしくなくて
地味ってこと!?
確かに昔からそんな風には、見られたことはないが。
ガーンとショックを受ける。
「す、すみません……」
「べ、別にお前がお嬢様に見えないとかではないからな?
花恋は、見てきた令嬢と比べておしとやかで着飾らないから
分からないだけだ。お祖母様もおしとやかだし」
女将さんは、おしとやかでもいかにも奥様みたいだ。
さすがに大奥様だとは、思わなかったけど……。
明らかに違うと思ったが落ち込んでいる私を気遣い
必死に弁解する華京院様を見て嬉しくなった。
すると家政婦頭の雪子さんが玄関から出てきた。
「あらあら。もうお着きで?
お待たせして大変申し訳ありませんでした。
さぁさぁこちらへ……」
慌てたように頭を下げると中に入るように勧めてきた。
あ、そうだったわ。中に案内しないと……。
華京院様を中に入ってもらった。
長い廊下を歩きながらチラッと庭園を見る。
確かに言われて見ればウチは、広いわね。
私は、物心ついた頃には、この家に住んでいたから
あまり意識していなかったが、他の家と比べて敷地の広さはある。
庭園もテナントの庭園のように腕利きの庭師の方に
手入れしてもらっているし、小さな池もあり鯉が泳いでいる。
春の季節は、庭に咲いている桜の木の下でお茶会をしたりする。
気にしてない事が今になって理解する。すると華京院様が……。
「そういえばお前の母親は、同じ茶道の家元だよな?
なら父親は、何をしているんだ?同じ茶道関係の人か?」
「えっ……父ですか?父は、華道の師範です。
朝比奈流って知ってますか?そこの次男なんです」