和菓子が繋ぐラグジュアリー。
「まぁ……和菓子職人!?しかも専門学校だなんて
蓮。あなた自分の立場を分かっているの?
あなたは、華京院財閥を継ぐ立場なのよ。
なら婚約する相手もそれに似合った人を選ばないと」
……ですよね。すみません。
言い返す言葉も見つからない。
いや、それよりも婚約者でもないのですが。
「そんなのは、俺の勝手だろ!!
別に学歴や家柄で嫁を選ぶ気はない。とにかく
俺は、彼女……花恋と結婚する。例え親でも指図は受けない」
いやいや。キッパリと言い切りますが
私の意思は、どうなるんですか!?えっ……?
「とにかく頭を一度冷やしなさい。
私は、絶対に認めませんからね……この結婚は」
会長夫人は、呆れながらもそう言い切ると
社長室から出て行った。
すると華京院様は、ハァッとため息を吐くと
近くにあったソファーにドサッと乱暴に座った。
どうやらお疲れのようだ。
しかし私は、どうしたらいいのかしら?
一方的に言われただけで変な自己紹介になってしまった。
それに……。
チラッと落とした茶菓子の包みを見る。
あぁ……大切なお届けものが。
きっと中身が崩れているに違いないわね。
どうやって謝罪するべきかと悩みながら、しゃがむと
包みを丁重に持ち上げた。
すると華京院様は、私に声をかけてきた。
「おい。あんた……花恋と言ったか?
随分と着物に慣れているんだな?」
えっ?着物……?
何故いきなり着物の話をするのかしら?
「あ、はい。祖母の影響でよく着ていたので」
「……そうか」
それだけ返事をすると黙り出した。
何を考えているのだろうか?
困惑していると華京院様は、急に立ち上がった。