和菓子が繋ぐラグジュアリー。

「話は、全部亜蘭から聞いたぞ。貴様がお見合いが嫌で
花恋を婚約者として無理やり演じさせていたらしいな?」

亜蘭が……!?
 慌てて隣に居る亜蘭を見るとニヤリと笑っていた。
どうやら邪魔をするために海外に居るはずの伊吹に話したようだ。

これだと華京院様のイメージが悪くなるわ!?

「伊吹、聞いて。確かに最初は、ふりだったけど今は、ちゃんと婚約したの。
今だって正式に結婚の申し込みをしに来た訳で……」

「そんなことは、どうでもいい。
 花恋の婚約そのものが問題なのだ。そもそも
彼女と本来結婚するのは俺のはずだったんだ……。
 なのに、いつの間にか結婚相手が貴様になっていた。
それが納得が行かなくてすぐに帰国したんだ!」

えっ……えぇっ!?
私、そんな話聞いてないわよ?
昔から仲が良かったけど一度もそんな風に想っているなんて思わなかった。

 華京院様もそれには、驚いていた。
そして私の方を見てきた。

「それは、本当なのか!?花恋……」

「いえ……私も初耳です。そんな風には、一言も」

 慌てて否定する。
いつからそんな話があったのだろうか?

「花恋は、鈍感だからな。いくらアプローチしても
自分の自身の無さで俺をそんな風には、見ていなかった。
 だが俺は、それでも良かった。いずれ婚約して
結婚するものだと思っていたからな。
なのに、こんな最低な野郎に奪われるなんて我慢ならない」

「誰が最低な野郎だ!!
どのみち俺は、花恋と結ばれることになっている。
 それにさっきから聞いていれば勝手なことを……。
俺が華京院財閥の後継者だと分かって言っているのか!?」

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