和菓子が繋ぐラグジュアリー。
結局止める間もなくそのイベント勝負は、
お互いに引き受けることになってしまった。
勝敗は、最後までに多くの観客を集めた方が勝ち。
どうやるかは、個人に任せるらしい。
帰り際に私は、華京院様を心配する。
「大丈夫なんですか?観客集めって
伊吹は、世間でも注目されている華道家なんですよ?」
どう考えても華京院様の方が不利だ。
いくら華京院様が主催する七夕祭りだが、注目とか
目を引く芸を持っているのは、伊吹の方だし。
すると華京院様は、私の頭を撫でてきた。
「心配するな。確かに俺は、親の財力や権力で
社長としてやってはいるが、ただ何も努力をしていない訳ではない。
俺は、誰の孫だと思っているんだ?」
そう言うと華京院様は、ニヤリと笑った。
最初は、意味が分からなかったけど、すぐにその意味を理解する。
あ、そうだわ。華京院様は、
老舗の和菓子屋・如月のお孫さんだったわ!!
あれ?でも……それでもどうするの?
常連客だけどお店に関わってはいないし……。
私は、不思議に思ったがその理由は、翌日
如月で女将さんに教えてもらった。
お店の休憩の時に、この事を話すと
「あら、おもしろくなったわね」と言っていた。
面白くなったって……。
「私にとったらお店が、さらに繁盛するから
ありがたいところだけど。それに大丈夫よ!
あの子は、恋愛以外では器用な子だから」
「……ですが……」
私は、それでも不安だった。
相手は、よりにもよって伊吹だ。小さい頃から
彼の才能を見てきた自分は、不安しか残らない。