和菓子が繋ぐラグジュアリー。
すると女将さんは、湯呑みをテーブルに置くと私の手を握ってきた。
温かくて優しい手だ。
そして私を見てニコリと微笑んできた。
「ねぇ、今夜私と一緒に食事に行かない?」
「えっ?女将さんと……ですか?」
「えぇ、そうよ。久しぶりに大将のお寿司を食べたくなったの。
あなたが付き合ってくれたら嬉しいわ」
大将って……前に恵斗さんと行ったお寿司屋さんのことかしら?
司さんのお祖父様がやっているお店。
あそこのお寿司は、本当に美味しかった。
私は「はい」と頷いた。
女将さんと思わないところで一緒に食事をすることになってしまった。
そして休憩が終わり仕事に戻った。
お寿司屋に向かったのは、仕事が終わり一息ついてからにした。
お店に入ると大将と司さんが寿司を握っていた。
しかし大将は、私達を見て驚いた表情をしていた。
「やよい!?」と言いながら……。
「久しぶりに大将のお寿司が食べたくなって
この子を連れて来ちゃったわ」
「そうか……座りな。いいネタが入ったんだ」
大将は、途中で普段の態度に戻っていたが
あら?もしかして知り合いなのかしら?と思った。
不思議そうにカウンターの方に座ると司さんが
お茶とおしぼりを置いてくれた。
「花恋ちゃんだったよな?いらっしゃい」