和菓子が繋ぐラグジュアリー。
今、私の祖母の名前が出たけど……えっ?
大将……お祖母様とも知り合いなのかしら?
意外な言葉に私は、きょとんとする。
しかし女将さんは、冷静にお茶をすする。
「あら、仕掛けたなんて人聞きが悪いわよ?大将。
私は、千草から事情を聞いていたからアドバイスをしただけ。
だって蓮と引き合わせようとすると
その伊吹君だったかしら?その子が反対するでしょ?」
「だったら一層蓮と伊吹君を派手に争わせて
ハッキリさせた方がいいと伝えたのよ。
それで花恋ちゃんの弟君が伊吹君に伝える前に
千草が先に婚約の事を伝えさせたの。
で、反対する気ならイベントで勝負したら?とね」
えっ……えぇっ!?
じゃあ、今回の件も全て女将さんと祖母が仕掛けたことだったの?
またもや意外な真実に唖然とさせられる。
確かに女将さんの思惑通り伊吹が反対してきたし
勝負をすることになったが……。
驚き過ぎて言葉にならないでいたら大将は、
やれやれとした表情になっていた。
「まったく。お前は、いつもそうだぜ。
千草と一緒で、なかなかのやり手だ。
礼一郎の時も上手く丸め込んで、如月を継がせてもらったぐらいだしな」
「あら大将。丸め込んだなんて……。
私は、ただ野心家の主人が私の実家である如月まで
強引にテナントに入れようとしていたから。
私は、実家を継ぐ気だったし、あの人の気持ちにも
気づいていたから条件を出したのよ。
“実家を継がせてくれないのなら、あなたの気持ちに
応える気はない”と。そうしたら受け入れてくれただけよ」
「それが丸め込むって言うんだよ。まったく……」
何やら凄い話をしている2人だった。
女将さんとご主人の過去は、そんなことが?
実家を継ぐために主人の気持ちを逆手に取るなんて……。
しかし女将さんとご主人にも驚きだが
大将は、女将さんの過去にやたらに詳しい。
名前も呼び捨てでタメ口だし……どういう関係?
私は、首を傾げていたら司さんがコソッと……。
「女将さんと祖父ちゃんは、幼馴染みなんだよ!
あと蓮の祖父ちゃんで女将さんの旦那も。
恵斗の祖父ちゃんも幼馴染みだし
花恋ちゃんとこの祖母ちゃんも驚いたがそうらしい。
腐れ縁でやつ?俺が蓮と恵斗と一緒で」