和菓子が繋ぐラグジュアリー。

「よし決めた。花恋……お前今日から俺の婚約者になれ」

 えっ……えぇっ!?

「ちょっ……ちょっと待って下さい。
 私がですか?いくらなんでも無理があるのでは。
それにお互いに初対面ですし……お付き合いだって」

「アホか。ふりだ……ふり。
 母が結婚しろとうるさいから。落ち着くまで
婚約者のふりをしろと言っているんだ!」

 あ、ふりですが……なんだ。いやいや。
それでも無理があるのでは!?さっきの見ましたよね?
 会長夫人は、私のこと気に入らないようでしたし
凄く睨んでいましたけど
 もし何か遭ったらどうする気ですか!?

お店に何かしてきたら私のせいになる。
 色々悪いことを考えると不安しか残らなかった。
しかし華京院様は、考えを変えない様子だった。

「母は、しつこいからな。その間に
どうにかするつもりだ。しばらくでいい。
 お前が俺の婚約者として接しろ。これは命令だ!」

命令って……そんな!?
 逆らったらどうなるのか分からないほど
華京院財閥の影響力は大きいが……それって有りなの?
 婚約者……か。

オロオロしながらもチラッと社長を見る。
 スラッとした長身でスタイルもいい。
綺麗な黒髪でスッと鼻筋が高く整った顔立ちだ。
 芸能人みたいなイケメンだった。

 ふりだとしても……こんな人の婚約者に抜擢されるのは、
ありがたいことなのかもしれない。だが、しかし
 問題は自分自身だった。
そのイケメンに張り合うぐらいの自信が私にはない。

「あの……でしたら他の方の方が……」

「分かったのなら返事をしろ!」

「は、はい」

< 7 / 82 >

この作品をシェア

pagetop