和菓子が繋ぐラグジュアリー。

「フフッ……」

女将さんは、クスクスと笑っていた。
 もしかして華京院様が和菓子作りをするって知っていて
わざと車の鍵を忘れてたのかしら?

女将さんならやりかねないわね……。

「あ、あの……もしかしてイベント用に?」

 私は、気になり尋ねてみる。すると華京院様は、
恥ずかしいのか目線を逸らしてきた。
しかし頬は、赤く染まっていた……。

「……そうだ。和菓子は、盛岡さんに聞いて
昔から手伝っていたからな」

 そう言いながら白あんを丸めていた。
これは、 ねりきりかしら?
私は、何だか嬉しくなり近付いて行く。

あ、やっぱりねりきりだわ!
しかも可愛い……白うさぎを作っていた。

「可愛い~華京院様。器用ですね!」

「まぁな……それより苗字に戻ってるぞ」

 華京院様は、照れくさいのか曖昧な返事をすると
うっかり苗字に戻ってきたことに対して指摘してきた。
照れてる……こっちも可愛い。

 いつもドSで気難しそうな表情をしている時があるが
こういう時の華京院様は、可愛いと思う。
 私は、クスクスと笑いながら作った白うさぎのねりきりを手に取った。

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