和菓子が繋ぐラグジュアリー。

やっぱり可愛い。丸い身体につぶらな瞳に耳まで
ちゃんと再現されている。
これは、子供や女性に人気が出そう。

しかし驚いた……。華京院様が、こんなに可愛らしい
うさぎを作れるだなんて。
見た目は、そういうのに興味なさそうに見えるのに

「食べてみろ。まだ試作品だが」

「は、はい。では頂きます」

 食べてみろと言われたので一口食べてみる。
上品な甘さで美味しい。
 凄い。ちゃんと如月の味になっている。

「美味しい……如月の味です」

「だが何かが足りないんだよなぁ……インパクトとか。
これだと普段の如月と同じだ。
 ビレッジのセレブらは、食べ慣れているから別に気にも留めないだろう。
 それに祭りの時は、一般客も大勢来るからなおさらだ」

 あー確かに。
セレブ達には、物足りないかもしれない。
インパクトか……。
 如月だからこそ出来るインパクトがあれば……。

 私と華京院様は、あーでもないこーでもないと意見を出し合った。
 何か華やかさとインパクトな感じにならないかと

 途中で女将さんにも意見を聞こうとして振り返ると
女将さんの姿はなかった。
 いつの間にか帰ってしまったようだった。
もしかして気遣ってくれたのかもしれない。

すると華京院様は、自宅に泊まって行けて言ってくれた。
 私は、まだ試作品を作りたいと思ったので
お言葉に甘えて泊まらせてもらうことにした。
 その夜は、深夜になるまでお互いに意見を出し合って
新作を考案していた……。

< 73 / 82 >

この作品をシェア

pagetop