和菓子が繋ぐラグジュアリー。
「凄いなぁ……」
私が言う前に華京院様がそう言ってきた。
その言葉に納得してしまうのが逆に切なくなる。
確かに伊吹は、凄いけど……。
すると向こうの方も人が集まっていた。
あれは、亜蘭かしら?
私は、気になりソッと離れて覗いてみる。
やっぱり亜蘭だ……。
19歳とは思えないほど堂々としている。
次期家元としての風格もあり普段は、落ち着いているので
こういう時ほど才能を開花させていた。
優雅な抹茶の点て方は、周りの女性客をうっとりとさせる。
結婚するのが反対な亜蘭は、華京院様の邪魔をしているのだろう。
どちらも強敵で、客数を奪うように増やしていく。
どうしよう……凄い早さで追い上げようとしてきた。
私は、焦り始めると華京院様は、私の頭を撫でてきた。
「心配するな。すぐに追い抜かす。さて戻るぞ!
負けてはいられないな。俺らの力を見せてやるぞ」
そう張り切って言うと華京院様は、エレベーターに向かっていく。
か、華京院様……。
「は、はい!」
私は、慌てて後を追いかけた。
不思議だ……さっきまで追い抜かれそうで不安だったが
今は、華京院様が頼もしく思う。
それは、何故だろうか……?
心臓がドキドキして熱い。
きっとそれは、華京院様のことを心の底から信じているからだ。
そうだね。私も頑張らなくちゃあ!!
改めて自分の在り方を考えさせれた。
そしてお店に戻ると営業を再開させた。
私は、声を出して宣伝したり、お茶を点てた。
華京院様は、普段見せないようなキラキラした
営業スマイルで接客を対応していた。
これは、凄い……普段の彼とは大違いだ。