和菓子が繋ぐラグジュアリー。

 キツい圧力で言ってくるので条件反射で
返事をしてしまった。ど、どうしよう……。

 結局言われるがままお店に帰らされてしまった。
そもそも婚約者のふりってどうしたらいいの?
 当たり前だが経験もしたことがないので分からないし
自分も婚約者どころか彼氏すら居ない。

下手に動いてバレたら終わりよね。
 ため息を吐きながらお店に戻った。すると
女将さんが出迎えてくれた。

「ご苦労様。あら?どうしたの暗い顔して」

「あっ……いえ。何も……」

「何か失敗でもしたの?良かったら話してみて
 場合によったら私から謝罪してあげるから……ね?」

ニコッと微笑みながら言ってくれる女将さんを見たら
涙が出そうになった。
 心配させたくないが、誤解されて謝りに行かれたら
困るので事情を話すことにした。
 するとあらあらと嬉しそうに微笑まれた。

「それは、随分とおも……いえ。大変なことになっているわね。
 でも私もよく知っているけど、華京院様は、
とてもいい方よ。きっと何か考えがあるのよ……」

「そうでしようか?」

あの華京院様は、凄く圧力をかけてきたし怖かった。
 あれは、俺様というかドSよ。
きっと私がヘマをしないように見張っておきたいのと
いいように利用しようとしているに違いないわ。

「とりあえず婚約者のふりでもしてみたら?
 もしかするといい方向に行くかもしれないわよ。
きっと……そうに違いないわよ」

何故だか女将さんは、それを押したがっていた。
 さっきも面白くとか言いかけていたけど
もしかしてこの状況を楽しんでいるのかしら?

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