和菓子が繋ぐラグジュアリー。
「あんなの反則じゃないか!!
一対一でもないし、人を集めて作戦を練るなんて卑怯だ!」
確かに、卑怯だと言われても仕方がないことだ。
仲間を集めてやったのだがら……。
亜蘭の言葉にグサッと胸に刺さった。
すると伊吹もそれに同意する。
「そ、そうだ!こんなのは、無効だ。
俺は、正々堂々と勝負をしたかったんだ」
「伊吹……」
しかしその時だった。
「あら、そうかしら……?」
えっ……?
その声をする方に振り向くと祖母だった。
女将さんも一緒だ。心配になり見に来たのだろうか。
すると祖母は、ニコリと微笑んだ。
「一対一でやるとしても伊吹君は、すでに世界で
活躍しているプロの華道家。
亜蘭も師範代の免許を持っている事実上プロじゃない?
なのに素人の華京院さんと対等にやろうとするのは、
些か無理があるんじゃないかしら?」
「それは……!?」
祖母の言葉に狼狽える伊吹だった。
だが祖母は、話を続ける。
「伊吹君。私はね……この子が幸せならそれでいいと思っているのよ。
あなたも知っていると思うけど人見知りで
私の後ろばかり隠れる子だったわ。
でも今は、華京院さんや周りの影響を受けて
自らの力で前に出て来ようとしている。
それは、華京院さんの人柄や真っ直ぐな意志の強さが
特に影響しているんじゃないかしら?」
祖母の言葉に伊吹は、黙っていた。
私は、その言葉に胸を打たれた。
確かにそうだ。私は、華京院様の影響を受けている。
一緒に頑張りたいと思った……。