医師の妻としての覚悟 ~寂しさと過ちを乗り越えて…

もうすぐ 9月も終わりだと言うのに

沖縄は 真夏のような 太陽が照りつけていた。


空港を出た私達は 笑顔で見つめ合う。

「暑いなぁ。」

「ホント。まだ 夏なのね。こっちは。」

「涼子。腹減ったね。どこかで 昼飯 食べよう。」


圭介は 私の肩を抱いて

タクシー乗り場に 向かう。


異国情緒が漂う 街並みを 眺めながら

私は だんだん 解放されていく。


ここは 日本だし。

許されない 旅行なのに。


知り合いが いない街に 安心して。

私は いつもより 圭介に寄り添う。


こんな風に 京一と 知らない街を 歩きたい。



圭介と 東京では こんな風に 歩けない。


カメラマンと モデルだから。

一緒にいる所を 誰かに見られても 

別に 不自然じゃないけど。


だからこそ 逆に 2人の距離感には 気を使う。

必要以上に 会っていると 変に思われるし。


そのことを 不満に思ったことは ないけど。

こんなに 堂々と 一緒に歩くと 気恥ずかしくなる。


京一となら…


どこでも 堂々と 腕を組んで歩けるのに。

京一とは 一緒に歩く機会さえ なくて。


圭介は 京一の代わりなの?


明るい声で 話し続ける 圭介に

相槌を打ちながら…


この旅行で 私の心は 沖縄の空のように

晴れることが できるのかな。







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