医師の妻としての覚悟 ~寂しさと過ちを乗り越えて…

朝食を済ませて 部屋に戻る途中

フロントに寄って 状況を聞いてみる。


「午後には 暴風域を出そうなので。夕方には 飛ぶかもしれないですね。」

「夕方…」

「夕方でも 飛べばいいけど。」

私と圭介は 不安な顔を 見合わせる。


「空港で 待ってみますので。タクシー 呼んでもらえますか?」

圭介が言うと フロントマンは 驚いた顔で

「この状態では タクシーも 難しいですね。」

と 申し訳なさそうに 私達を見た。


「どうしよう…」

「タクシー会社と 連絡が取れたら お部屋に電話します。」


私達の 必死な表情を 

フロントマンは 不審に思ったはず。


私達は 夫婦として 予約していたから。

台風の最中 そこまでして 帰る理由がない。


罰が当たったんだ…


京一を 裏切ったから。

あんなに 大切にされていたのに。


私だって 京一を愛しているのに。


もし 京一と 別れることになったら…


今さら 圭介と 旅行したことを 

私は 心から 後悔していた。






< 28 / 76 >

この作品をシェア

pagetop