医師の妻としての覚悟 ~寂しさと過ちを乗り越えて…

「涼子。食事に行く元気 ある?」

朝 出勤前に 京一に聞かれ。

「うーん。食べられるかどうか わからないけど。京一さんと 一緒なら 外に出たいな。」

「じゃ 今日は 食事の用意 しなくていいよ。帰ったら 出かけよう。」

「いいの?」

「もちろん。」


毎日 家にこもっている私を 京一は 心配してくれて。

休日だけじゃなく 夜も 時々 連れ出してくれた。


そんな 京一の思いやりが 嬉しくて。

京一と 一緒にいると 私は 元気になれる。


「珍しいなぁ…つわりなのに 中華が食べたいって。」

「そうよね?でも 無性に こってりした物が 食べたいの。」


その夜 京一と 出かけて。

食事に 中華をリクエストした私を 京一は 笑う。


「まぁ つわりも それぞれだから。いいんじゃない?」

「京一さん ごめんね。最近 食事も 手抜きばかりで。」

「こちらこそ ごめんね。俺の子供が 涼子を苦しめていて。」

「えッ?俺の子供って…私の子供だし…?」


私は 京一の言葉に 驚いてしまう。


私のお腹には 京一がいる…


「ハハハッ。そうだけど…俺達の子供。どんな子かな?」

京一は 少し照れた笑顔で 

まだ 膨らんでもいない 私のお腹に そっと触れる。


「きっと すっごく腕白よ?」

「男の子かな?」

「どうかな…?でも 身長は高いよ。どっちに似ても。」

「そうだな。ショーモデルに なれるかな?」

「えーっ?お医者様に ならないの?」

「医者は 忙しいから。」

「あら。モデルだって 売れっ子は 忙しいわ。世界中を 飛び回るのよ。」


そんなことを 話していると

不思議と 食事も 美味しく 食べられる。


クリスマスが近い 賑やかな街を

京一と 歩きながら…


もう クヨクヨ 考えることは 止めようって。

京一に 肩を抱かれて 歩きながら

私は 幸せを 噛みしめていた。






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