医師の妻としての覚悟 ~寂しさと過ちを乗り越えて…

お正月を過ぎると 徐々に つわりは 治まったけど。

体は 妊娠する前とは やっぱり 違う…


お腹が 少しずつ 膨らみ始めて。

出産への 不安も 膨らみ始めた。


「ねぇ 京一さん。出産する時って すごく痛いの?」

「えーっ。それ 俺に聞く?」

京一は ケラケラ笑う。

「だって 京一さんは お医者様だから。勉強したでしょう?」

私も つられて笑いながら 言う。


「俺は 専攻外だからね。伊藤先生に 聞いておくよ。」

「私 痛みに弱いの。我慢できるかな…?」

「俺が ずっと付いているから。大丈夫だよ。」

「えーっ!京一さん 出産に 立ち会うの?」

「当たり前でしょ!」

「イヤだ…恥ずかしいわ。私 叫んだりするかも…」

「大丈夫。涼子だけ 苦しい思い させられないよ。」

「でも 出産に立ち会うと 奥さんを 女性として 見られなくなるって…」

「俺は 涼子の内臓を 切り開いても 女性として 見られるから。安心して。」

「内臓って…」


京一は 医師だから 

そういう場面に 慣れているかも しれないけど。


あまり 恥ずかしい姿は 見せたくない…


私は 少し膨らんだ お腹を撫でながら

立ち合い出産を するかどうか

本気で 悩み始めていた。






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