医師の妻としての覚悟 ~寂しさと過ちを乗り越えて…
「私ね。本当は もっと早くから 子供が欲しかったの。」
「ホント?実は 俺も…でも 言い出せなかったんだ。俺 忙しくて 家にいないから。子育てだって 手伝えないのに。それに涼子 モデルの仕事 頑張っていたから。子供ができたら 仕事も 続けられなくなると思って…」
「仕事なんて 暇つぶしだったのよ?たいした仕事も してないし。でも 京一さん 子供のこと 何も言わないから…私からは 言えなかったの。」
京一は 私のお腹を 愛おし気に 撫でる。
「そうか…ごめんな。俺 本当に 何やってたんだろう…でも もう大丈夫だよ?これからは 涼子と この子のために 仕事するって。自信が持てたからね。」
「ありがとう。私も。私は 京一さんとこの子にとって 必要だって 自信が持てたわ。だから もっと頑張れるわ。」
「ハハハッ。そんなに 頑張るなよ?これからは 子育ても どんどん手伝うからね。」
「仕事 大丈夫?」
「大丈夫だよ。森尾君も しっかりしてきたし。もう 安心して 任せられるからね。」
「フフッ。森尾さんに 抜かれちゃうわよ?」
「それでもいいんだ。仕事は 代わりの人でも できるけど。涼子の夫は 俺しかいないから。」
「京一さん…」
私は 胸が熱くなって 涙が滲んでくる。
私は 寂しさに負けて 京一を 裏切ったのに。
京一は こんなに一途に 私を 思っていた。
もう 絶対に 京一を 裏切らない。
これからは もっと 京一のために 頑張るから…
「神様って いるのかもな…どこかで 見てて 俺達が もう親になっても 大丈夫だから この子を 授けてくれたのかな。」
京一の言葉に 驚いて 顔を上げると
私の瞳から 堪えていた涙が 一粒 流れ落ちた。