政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

(……ってことは私に、結婚する以外の道はないんだよね)

ファインベリーはもちろん、農園をこれで終わりにしたくない。理仁はその手助けをしてくれると言っているのだから、答えはひとつしかなくなる。


「菜摘」


ふと、和夫が真剣な眼差しを菜摘に向ける。


「前にも言ったと思うけど、菜摘が彼と結婚したくないというのなら、それでいいんだぞ? 菜摘を我慢させてまでイチゴ園を続けていくつもりはない。菜摘の気持ちが一番だ」
「うん、わかってる」


和夫が心からそう思い、無理強いさせるつもりがないのは、菜摘も十分理解している。
あとは菜摘の心ひとつ。それで未来がまったく違うものになる。

和夫は穏やかな笑みを浮かべ、手を伸ばして菜摘の頭をポンポンと撫でた。

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