政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「今日も農園に?」
「祖父のお見舞いの後に行ってきました」
「おじい様の体調はどう?」
「おかげさまでだいぶ元気になりました」


救急車で運ばれたときにはどうなるかと心配したが、顔色もずいぶん良くなり、声に張りも出てきた。たぶんそれは、借金問題に目途がつきそうな安心感からだろう。


「それはよかった」
「日高さんのおかげでもあります」
「どういう意味?」


理仁はぐいと顔を近づけ、再び菜摘の顔を覗き込む。


「借金がなんとかなりそうだから、気分的に違うんだと思います」
「……つまりそれは結婚に同意するととっていいんだね?」


理仁は目を細め、視線をいきなり鋭くさせた。
菜摘本人に言っているようなニュアンスがドキッとさせる。

「えっ? ……あ、えっと……それは姉が決めることですので」
「でもキミはもう反対していないと思っていいようだ。そうじゃなきゃ、借金がなんとかなりそうだとは言わない」
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