政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
目覚めたときの状態から覚悟はしていたが、それでもギクッとさせられる。
「騙してごめんなさい!」
急いで頭を下げた。
いきなりプロポーズされたため意図せずこんな事態になったが、美代子を欺く理由にはならない。そのくせ農園は助けてほしいというわがままな想いも抱えているなんて身勝手だ。
「いえいえ。それより寝ていなくて大丈夫ですか? 今、朝食をお持ちしようとしていたところなんです」
「大丈夫です。本当にご迷惑をおかけしました」
深く頭を下げ、ふと思う。
「でも、美代子さんが部屋まで運んでくださったんですか?」
理仁に正体がばれていないのだからそうだろうが、聞かずにはいられない。
「そ、そうなんです。こう見えても私、腕には自信がありまして」