政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「唇にキスするまでにキミはきっと俺を好きになる」
「……え?」
「そう言ったのを覚えてる?」
理仁が佐々良家にやって来た日のことだ。たしかに彼はそう宣言した。
「近々ここは俺がもらうから」
それはつまり、菜摘の心を奪うということだ。
理仁が菜摘の唇を親指でそっとなぞる。容赦ない夏の太陽のように、焼けつくほど熱い指先だった。
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