政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
祝福のデート
プールからあがりシャワーを浴びた菜摘は、理仁に連れられ寝室にあるウォークインクローゼットの前にいた。女性らしい服を持ってきていないためデニムにTシャツという格好は変わらないが、ウィッグもメガネもなし。髪を下ろした菜摘本人の姿で。
「どれでも好きなものを着たらいい」
菜摘の肩を引き寄せ、理仁が扉を大きく開く。
十畳はあるだろうか、レディースのトップスやボトムス、ワンピースなどたくさんの洋服が整然とかけられていた。
菜摘の口から感嘆のため息が漏れる。
「これ、どうしたんですか?」
「どうもこうもないだろ。菜摘のために用意したんだ」
それはそうなのかもしれないが。
「どうして」
「菜摘の気を引くため以外にある?」
ためらいもせず言われて顔が熱い。
「こんなことしなくても……」