政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

理仁の肩を小突くタッチがやけに親密そうに見えて胸が騒ぐ。


「で、それが話してたやつだね」
「……あ、あぁうん、そうなの」


エリカは手にしていた皿を取り繕ったようにしてテーブルに置いた。


「定番のモンブランとはべつにスポット的に置くのはどうかと思って」


秋に向けての新作らしい。下地のタルトにマロンクリームでスリムな山をかたどったケーキだ。定番のものは菜摘も食べたことがあるが、それよりも小ぶりに見える。

食べてみてと、エリカが手で促す。理仁は添えられていたスプーンでまず半分に割り、中をたしかめた。


「タルトの上にはムースだね」
「定番はチョコクリームとラム酒を効かせたムースを使っているけど、それはマロンペーストと無糖の生クリームにしてみたの」


スプーンですくい、理仁が口に運ぶ。味わうようにして飲み込んだ。
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