政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

料理は多国籍と言ったらいいのか。野菜から魚介系、肉系、いろいろなメニューがあるようだ。理仁は菜摘の好みを聞きながらチョイスし、ほどなくして運ばれてきた飲み物で乾杯となった。
理仁は車の運転があるためノンアルのビール、菜摘は彼に勧められてアルコール度数の低いカシスオレンジにした。この前の夜のように倒れるような事態にはしたくない。


「強いお酒で酔わせて、菜摘を口説いて落とすってのもいいけど」


そう言って笑うが、理仁はアルコールの度数に関係なく口説いているように思うのは、菜摘の自意識が過剰なだけなのか。


「ま、アルコールの力を借りなくても落とすけどね」


間近で真っすぐな瞳に撃ち抜かれ、鼓動が大きく弾む。
ふたり掛けのソファ席というのは危険だ。なにしろ距離が近い。
理仁からぎこちなく視線を逸らし、カシスオレンジのグラスを持つ。


「おかえり、菜摘」


理仁には最初から正体を見破られていたため、そう言われると決まりが悪い。
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