政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「ごめんなさい」
「俺がほしいのは謝罪じゃない。菜摘の〝好き〟だ」
つい謝る菜摘に、理仁は微笑みながらグラスを合わせた。
エビのアヒージョ、生ハムとリコッタチーズのサラダ、ハマグリと野菜のワイン蒸しなど、次々と運ばれてきた料理はどれもおいしくてお酒も進む。ふわふわとしたいい心地になっていると、不意に店の天井がべつの星空に切り変わった。
「わぁ、すごい。いったいどうなってるの?」
「プロジェクションマッピングだよ。CGを映写機能で天井に映し出してる」
「そうなんですね。本物の星みたい」
ソファの背もたれに体を預けて見上げる。
ゆっくりと変わっていく星空はいくら見ていても飽きない。周りのテーブルからもため息交じりの声が漏れ聞こえてきた。
ふと、膝の上に置いていた左手に温もりを感じて目を落とす。その正体が理仁の手だとわかり、急速に胸が高鳴っていく。
理仁は菜摘に指を絡め、ぎゅっと握ってきた。いわゆる恋人繋ぎの状態になって気が気じゃない。星空どころではなくなってしまった。
「菜摘」