政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「いやそれがそうでもないらしいんだよ。日本を縦断しそうな動きを見せはじめてるみたいなんだ」
「そうなの? この時期に?」


菜摘はバッグからスマートフォンを取り出し、天気アプリの台風情報をタップした。すると和夫の言うように、台風の予報円が九州から四国、本州へと描かれ、関東を直撃するコースになっている。


「ほんとだ」
「どれどれ?」


大地が隣から菜摘のスマートフォンを覗き込む。


「あちゃー、こりゃやばいね」
「だね」


この予報通りの進路をとったら被害は免れない。病室の窓から見える青空を見ている限りでは、そんな気配は微塵もないけれど。


「大変だろうけど、今のうちから対策をしてほしいんだ」
「そうだよね」


今回の台風が直撃しなくても、その後を考えれば手を打っておいた方がいいだろう。今のままではビニールハウスが飛ばされてしまう。
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