政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「よし、片づけちゃおう」


掛け声と一緒に立ち上がる。食べ終えた食器をキッチンに運び、軽く汚れを落として食洗機に入れていく。

(私が好きだって言ったら、すぐに結婚になるのかな。そういえば、まだ日高さんのご両親にも会ってないよね。結婚相手には口うるさくないって言ってたけど、ほんとに私で大丈夫なのかな……)

まだ想いも伝えていないというのに、先走って余計な心配をする。フライング気味にあれこれ考えながらテーブルを拭いた布巾を洗っていると、不意に後ろから伸びてきた手に抱きしめられた。ふわりとシャンプーが香る。言うまでもなく電話を終えた理仁だ。

頭のてっぺんに落としたキスが後頭部から首筋へと移動していく。キスの応酬はいつものこと。それなのに心音が速まっていくのは、さっき口にしかけて止めた告白のせいか。


「は、早かったですね、電話。お仕事ですか?」


動揺を隠して明るく聞く。


「ん」
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