政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
これまでの自分の言動を思い返して恥ずかしくなる。バレているのではないかと疑ったのは数知れず。でも理仁が指摘しなかったから、そのたびにきっと気のせいだと思いなおしてきた。
「もう曖昧に言って逃げるのはなしだ」
自分の気持ちを誤魔化したり抑えたりしない。
「菜摘、後には退かせないよ」
「……はい」
後戻りはしない。
理仁が真顔になり瞳に熱が宿る。菜摘の唇に軽いキスをしたかと思ったら、ひょいと抱き上げた。
「ひゃっ」
反射的に彼の首にしがみつく。
「あのっ?」
「今夜から菜摘は俺と同じ部屋」
「それって……」
意味深に笑う理仁の顔を見て気づかずにはいられない。