政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「菜摘に手を出すのはまだ早いって、おじい様に言われた気分だな」
「……え?」
「これからってときに電話をかけてよこすんだから。孫への愛からくる直感的なもの?」


理仁が自嘲気味に笑う。
言われてみれば、どんぴしゃなタイミング。まさにはかったように電話が鳴った。
入院中こんな遅い時間に和夫から連絡があったのははじめてだ。

(虫の知らせ的なことって、こんな場面でもあるの?)

そんなふうに考えて、なんともいえず恥ずかしくなる。


「続きをしようと言いたいところだけど、今夜はやめておこうか」


髪を撫でる理仁の手が優しい。でもそこにさっきまでの官能的な雰囲気はなくてホッとした反面、残念に思う自分がいた。


「はい」


菜摘が照れ笑いで頷く。
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