政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「愛してるよ、菜摘」
ほんの数センチの距離を理仁が一気に詰め、唇が重なり合う。チュッチュッと音を立てながら優しく吸って擦り合わせながら、理仁は菜摘をベッドにゆっくりと押し倒した。
心臓が異常なまでに速く刻み、自分でも制御ができない。吸っているはずの酸素が足りないのは、理仁をもっとと欲しているせいか。彼の想いのすべてを余すところなく、この体に心に感じたい。
キスが深くなるにつれて、甘い吐息が菜摘の口から零れていく。それに触発されたように、理仁の手が菜摘の体のラインをなぞり、パジャマの中に静かに滑り込んだ。
素肌に触れた指先が思いのほか熱く、菜摘の体についた小さな火が徐々に大きくなっていくのを感じる。彼に触れられ、キスを落とされる場所からさざ波のように熱が広がり、これまで知っていたものとは違う感覚が全身を襲った。
両手を繋ぎ、キスを交わし合い、理仁に揺らされ、過ぎていく甘くも淫らな時間。ほかになにもいらないと思うほどの幸せに酔いながら、夜は更けていった。