政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

心当たりがまったくないといった様子で、和夫は不思議そうだ。


「なんと、じいちゃん! やっと届いたんだよ、品種登録完了の通知が!」


和夫は目をこぼれるほど大きく見開き、「おおっ、そうか!」と顔をしわくちゃにした。

農林水産省からファインベリーの登録が完了したとの知らせがあったのは一昨日。和夫の退院も決まっていたため、帰ってきたときに驚かせようと大地と相談していたのだ。


「おじいちゃん、おめでとう」
「じいちゃん、おめでとう。よかったな」
「ふたりのおかげだよ。こっちこそありがとう」


ついうるっとしそうになったところで箱を開け、中からケーキを取り出す。
以前、理仁とミレーヌに行ったときにエリカが新作として作っていたモンブランだ。あのとき言っていたように栗を模したマカロンが乗っている。


「かわいらしいケーキだな」
「でしょう? おいしいから早速食べよう」


皿に取り分けたモンブランを和夫と自分の前に置き、甘いものが苦手な大地にはリンゴゼリーだ。
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