政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
その法人から佐々良イチゴ農園に人を派遣しようと言うのだ。
「……ですが、それには当然ながらお金がかかるんですよね」
和夫が難色を示すのも当然だろう。
「契約農家さんあってのミレーヌですから、その負担はいっさいありません。あくまでも目的は農家さんのサポート。うちはフルーツがなければ立ちいかなくなりますから。もちろん際限なく人の派遣はできませんが、おじい様の負担軽減はかなり見込めると思います」
その派遣される人たちも、もともと農家をしていた経験者を集めているため、まったくの素人ではない。
「日高さんにそこまでしていただいて、なんとお礼を言ったらいいのか……」
「菜摘さんの大事なご実家ですから。誠心誠意尽くして当然です。それに、おじい様がいらっしゃらなかったら、菜摘さんとは会えなかったでしょうから」
理仁は菜摘と目を合わせて微笑んだ。