政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
菜摘が和夫のもとへ来て、イチゴを作っていなかったら、理仁とはあの葬儀で出会っただけで再会はなかっただろう。一つひとつの積み重ねが今に繋がっている。
「こちらこそ、ありがとうございますとお礼を言う立場ですから」
理仁はそう言って、カバンからクリアファイルを取り出した。
「こちらがその農業法人の定款になります。お時間のあるときにお目通ししていただければと思います」
「承知いたしました。いや、本当に日高さんにはなにからなにまで……。今後とも末永くどうぞよろしくお願いします」
和夫と理仁はお互いに頭を深く下げ合った。