政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
なんとも面はゆくて、それを誤魔化そうと得意分野の話に逃げる。
「日高さんはイチゴ、お好きですか?」
「もちろん」
ちょうど目の前にデザートののった皿があり、そこに半分に切られたイチゴがあった。その皿を手に取り、イチゴを指差す。
「この真っ赤な部分は、じつはいちごの果実じゃないんです」
「え? どういうこと?」
社交辞令的な反応だろうが、話に食いついてきた理仁を見て、菜摘の気分も乗ってくる。
「本当の果実はここ。表面のつぶつぶの部分なんです」
「それは種だろう?」
「そう思いますよね。でも種じゃなく、実なんです」
予想通りの反応をされ、つい得意気に説明する。
「じゃ、あの赤い部分はなに」