政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「え、や、その……」
なにをどう返答したらいいのか反応に困る。しかも、しっとりとした優しい眼差しを向けられて戸惑いしかない。
急に喉の渇きを覚えて、グラスに手を伸ばす。
(やっぱりこの手の男の人にはどう接したらいいのかわからないよ……)
ぎこちなさが出たためか、持とうとしたグラスを倒してしまった。
「あっ」
カシャンと音を立てたが幸いにも割れず、こぼれた水がテーブルに広がる。
「ごめんなさいっ」
立ち上がったが近くにタオルが見当たらない。咄嗟に手でかき集めようとしたら、理仁がナフキンでスマートに拭いてくれた。
(もうっ、こんなときになにやってるのよ……!)
自分のそそっかしさが情けない。