政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~

「……はい?」
「俺と結婚しよう」


唐突に結婚ときた。いったいどういうつもりか。


「な、な……」


なんでですか?が言葉にならない。


「突然で驚いた?」
「冗談はやめてください」
「冗談は言ってない」
「それじゃ、からかわないでください」


軽い調子はまるでジョーク。顔を真っ赤にしたり言葉に詰まったりする菜摘をおもしろがっているだけだろう。


「残念ながらからかってもいない。さっきの貸しは結婚で返してもらいたい」
「そんなっ! 二回しか会ったこともないのにプロポーズなんて軽すぎます」
「二回か……」


理仁はゆっくり立ち上がり、自分の席に戻った。
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