政略結婚の甘い条件~お見合い婚のはずが、御曹司に溺愛を注がれました~
「それじゃ、何回なら真剣だと思ってもらえる?」
「何回でも日高さんは無理です」
「俺だから無理? それは差別だと思わないか?」
理仁はテーブルに両肘を突き、その手を顎に添えて菜摘を真正面から見つめる。
いったいなにを考えているのだろうか。意図がまったく掴めない。
「ですが、日高さんはおモテになられるでしょうし、私では不釣り合いですから」
「モテるのは関係ないし、釣り合いがどうこういうのも関係ない」
「関係あります」
むしろ、それしかないと言ってもいいかもしれない。
理仁は今日付けでミレーヌの社長に就任した男。会場内の女性たちの目を釘づけにするような人間なのだ。
「急いで結論を出さなくてもいい。少し考えてみて」
「じっくり考えても答えは変わりません」
理仁の周りに普段からいるような洗練された女性じゃないのをいいことに、きっとからかって楽しんでいるのだろう。物珍しいだけ。
(それなら私だって……)
この攻防戦の終わらせ方をふと思いついた。