紅に染まる〜Lies or truth〜


何度も離れては重なる口付けは
最後にチュッと音を立てて離れた


「俺で頭ん中いっぱいにしてろ」


そう言うと頭をクシャっと撫でて立ち上がった紅太


「またな」


最後はまた口元を三日月型に緩ませていた



「・・・っ」



・・・なんだったの?



気がつけば熱を持っていた唇に触れていた


1ミリも揺らがなかった感情にため息



考えても繋がりなんて手繰り寄せることも出来なくて

【思い出せ】の意味も
口付けの意味も

深く考える気にはなれなかった


空になったシャンパングラスにおかわりを注文するとソファに深く腰掛けた



・・・綺麗



ピンクの泡を眺めながら
思い出すのは兄のことばかり


シュワシュワと弾ける喉越しに顔をしかめながら二杯目を飲み干した時


「失礼します」


奥野がソファの隣で跪いた


「工藤颯が来ていますが通しますか?」


腕時計を確認するとあれから15分経っていた


「遅いわね」


「そう、ですね」


さっき紅太が来た時には
この男は確認には来なかった・・・

黙認?それとも・・・

それを考えているうちに


「愛!!」


遠くで場違いな大声が上がった











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