私は、この人の妻?
「なぁ、おばあ様は体調悪かったのか?」
と、海斗さんからいきなり訊かれて
「はい。ここ数日は咳をよくされていて
咳き込むこともあったので
背中をさすることもしばしばでした。
そのことが気になって
おばあ様にもお話していたのです。
海斗さんは、あの日から
実家に帰っていないのですか?」
と、訊ねると
「ああ、まぁ。
仕事も忙しいし····
と、言う海斗さんの言葉を遮り
「私が、家にいると思ったからでは
ないですか?
それでしたら、
私は、もう伺いませんので。
佳寿ちゃんの側にいてあげて下さい。
あっ、恋人か想い人かわかりませんが
その方もご一緒に」
と、言うと
「海斗なんか、来なくて良いよ。
私は、穂乃華ちゃんといると
癒されるんだ。
海斗を預かって、必死に育ててきた
親の居ない子だと
言われたら海斗が可哀想だと
海斗自身も寂しい思いを
沢山してきたと思う
だから、今、仕事も私生活も
楽しくて幸せならいいんだ。
私はぬいぐるみ達と
穂乃華ちゃんがたまに来てくれたら。」
と、佳寿ちゃんが目を覚まして
言うから
「佳寿ちゃん、大丈夫ですか?」
と、穂乃華
「おばあ様。」
と、海斗が言う。
穂乃華は、
「私で良ければ
いつでも行きますよ。
ですが、たった一人のお孫さんでは
ないですか?
海斗さんが幸せなら、
一緒に幸せになれば良いと思います。」
と、言うと
佳寿ちゃんは、頭をふりながら
「穂乃華ちゃん、ありがとう。
でもね、海斗は私に甘える事が
できないんだよ。
厳しく育ててきたからね。
だから、この子が幸せなら
それで、良いんだ。」
と、佳寿ちゃん。
なにも語らない海斗に
佳寿ちゃんと海斗の間には
なにかあるのだろうと思った。
そこへ、おばあ様が病室に入ってきて
「佳寿、寿命が縮まるよ。」
と、喧嘩腰で言うと
「ごめん。ごめん、佐代。
だけど、穂乃華ちゃんがいてくれて
助かったよ。」
と、言うから
「そんな·····」
と、言っていると
「穂乃華は、佳寿の人柄と
佳寿の家、佳寿の作るぬいぐるみ達が
好きなんだそうだ。
仕事の都合が着くときは
行かせるから。
まぁ、言わなくても
この子は、そういう子だよ。」
と、言うと
「佐代と穂乃華ちゃんは、
仲がよいのう。」
と、言う佳寿ちゃんに
「おばあ様は、とても厳しいのですよ。
でも、私の入れるお茶が
美味しいといつも誉めてくれます。」
と、伝えると
おばあ様も佳寿ちゃんも笑っていた。
その中で海斗さんは、
居場所がないように·····していた。
今日は、おばあ様が
佳寿ちゃんに付くと言うから
私と海斗さんは病室をでた。
明日朝、おばあ様を迎えに行き
佳寿ちゃんの荷物を取りに行く事に。
まぁ、海斗さんでは
佳寿ちゃんの必要な物は
わからないと思うから。
今夜は、必要な物を売店で購入すると
おばあ様が言っていたから
おまかせした。
黙って歩く海斗さんが
気にはなるが
なんと言えば良いのか
わからなかった。