私は、この人の妻?
5話
···海斗 side
俺は、彼女の保育園に連絡をした。
彼女は、びっくりしていたが
待ち合わせに応じてくれた。
待ち合わせは、和食の店の個室にした。
「すみません、遅くなりました。」
「いや、急にすまなかった。」
「いえ、それにこんな格好で。」
と、言う彼女は、
ジーンズにティシャツにリュック
上着を持っていた。
保育園で働く彼女の姿だと
思った。
「いや、俺が急に連絡したから。
こちらこそ、保育園に電話をして
すまなかった。」
と、頭を下げた。
「あっ、えっ、だっ、大丈夫です。
少しびっくりしましたが。
佳寿ちゃんのことかと。」
「ああ、そうだな。
驚かせてしまった。」
と、謝ると
「クスッ、謝ってばかりですね。」
と、彼女に言われて
あ~、そうだなと恥ずかしくなった。
それから、注文をして
食べながらお互いの仕事の話をした。
彼女・穂乃華さんが自分の
仕事を楽しくやっていることが
伺えた。
少しして、俺は
「お見合いの時には
失礼な態度をとってすまなかった。
そして、おばあ様を助けてくれて
ありがとう。」
と、言うと
「あ~、いえ。私も失礼な態度でしたから。」
と、言ってくれたから
「もう一度、お見合いをやり直して
くれないか?
いや、俺と付き合って欲しい。」
と、畳み掛けて彼女に言った。
「えっ、なぜ?
海斗さんは、私に興味なんか
ありませんよね?」
「············。すまない····
協力して欲しい。」
と、正座をして頭を下げる。
「どういう事ですか?」
と、困る穂乃華に
「おばあ様は···おばあ様は、肺癌なんだ。
ステージ4だと聞いた。
そう長くは、ないと。
俺を大事に育ててくれたのに
俺は、おばあ様に何もできてない。
そんなおばあ様を安心させてあげたいんだ。
失礼な事をお願いしていると
思っている。
だけど、おばあ様は落合さんに
俺を託したいみたいなんだ。
だから、頼む。」
と、頭を下げた。
彼女は、おばあ様の病状を
きいて、涙をいっぱいためている
今にも溢れそうだ。
彼女をじっと見ていた。
すると
「わかりました。」
と、言った時に瞳から涙が溢れた。
「佳寿ちゃんの為に頑張ります。
ですが、私のおばあ様や両親に
仮の恋人だとわからないように
してください。
佳寿ちゃんの為とはいえ
おばあ様や両親を悲しめたく
ありません。」
と、言うから
「すまない、こんなことに巻き込んで。
だが、きっちりとやる。
俺の全てで君を・穂乃華を守る。」
と、言う俺に
彼女は、びっくりした顔をしながら
「私の名前知っていたのですね。」
と、言うから
「ああ、すまん。」
と、言うと穂乃華は、泣き笑いを
していた。
彼女に大変な事をお願いしていることは
わかっていたが
彼女・穂乃華にしか頼めなかった。
おばあ様が退院したら
付き合っていることをおばあ様と
穂乃華のおばあ様と両親に話す。
おばあ様が家に帰り
落ち着いたら海斗もおばあ様の家に戻る。
と、今後の打ち合わせをした。